FortuneClip

 改めて書いてみる事では無いのかもしれませんが

 このメールマガジンを書き始めて、もう3年になるのだろうか。それまではComputerClipなどニュース系のマガジンを担当していたのだが、ふとしたきっかけでこのマガジンを創刊する事となった。今回はそうしたきっかけから、創刊に至り、現在になるまでを思い出しながら追ってみたいと思う。もし今週登録解除をしようと思っていた人がいらっしゃいましたら、できれば今週だけは読んで頂ければ幸いです。ちょっと我侭かもしれませんが、ここでお会いしたのも何かの縁。今週最後まではお付き合い頂ければ幸いです。

 創刊に至ったきっかけはその半年程前から某社より”占いソフト”の開発を依頼され、よみものさーちの清水さんの”新しい形式のメールマガジンを作ろう”と言う発案により実現化された事に始る。ご存知の方もいらっしゃるかと思うが、私の本職ははソフトウエアを依託され開発するSE又はプログラマーと言われる人種の人間である。

「私は占いなんて全然知らないですよ」
「大丈夫です。何人も占い師さんが付きますし、DOSベースのソフトをWindowsに書き換えるだけですから、元ソフトがある分楽だと思いますよ」

----------------------------------------------------------------------

 当時2000年問題の危険性・脆弱性が囁かれていた頃であった。結論から言うとおそらく書き換えなくてもプログラムは動くと思ったのだが、擦ったもんだあった挙句、メル友からの依頼と言う事もあり引き受ける事となった。説明を聞くに、どうやら誕生日と名前を使い9星占星術と言う物を使用し占うのだが、とにかく最低限の知識は必要であると思い本屋さんで複数の占い関連書籍を買い漁った。

 この9星占星術の基本はと言うと、人は生まれながらにして9星と呼ばれる”一白水星””ニ黒土星””三碧木星””四緑木星””五黄土星””六白金星””七赤金星””八白土星””九紫火星”と言った星に分類されると言うのだ。それは生まれた年に大きく依存し、節分を境に運命が変って行く。

 又それぞれの星の運命の他に、暦などからも運命を導き出す事が出来る。つまりは一日一日にはそれぞれ二十四節季や二十八宿、納音(なっちん)と呼ばれる意味があり、人の運命はそれに依存すると言う物なのである。何だか難しくなって来たが一度データさえ入力してしまえばコンピューターでそれぞれの星ごとの運勢を検索する事が出来るので理屈さえ分かってしまえばアルゴリズム化する事は難しくは無い。基本ソフトはデータを含めて3ヶ月程で完成し、運用が開始された。売上は……ぼちぼちであったそうだ。現在は諸事情により販売を停止している。一部新潟のデパートで販売されていると言う噂もあるが、場所については確認をしていない。

 ソフトを開発し終えて思ったのが、占いと言うのは以外と統計・順序立っており、どちらかと言うと物理学に近いなと思った事だ。かのアインシュタインも物理の他に勉強するとしたら何を勉強するかと言う答えに”占星術”と答えていた事は有名な話である。

 ナチスのアドルフ・ヒトラーも重大な決断をする時は星の運行表を参考にしていたと言うのは有名な話である。現在星の運行などはかなりデータ化され、書籍として販売されている。これなら私も占いデータを作成出来るのでは無いか。仕事が終ったのにも関わらず私の頭は別の方向を向いてグルグル回り始めていた。

----------------------------------------------------------------------

 その当時、有名人の誕生日と星の動きの関係などから新しい占いを作り出した人や大ヒットとなった”動物占い”を作り出した人などとにかく占いがブームであった。占いの結果と言うのはやはり今日運勢がいいのか悪いのか、注意すべき点はどこにあるのかが分かればいいのでは無いか。そしてどうせならMHTMLマガジンの特性を生かしたマガジンを……創刊当初は星の運行を見ながら、手で占っていたのだが、どうもそうした場合やはり間違いが多く、読者からのクレームが多くなってしまった。

「総合運は良い。になっているのに、星ごとの運勢が悪いになっている。これは絶対におかしい」
「占いの星の数が昨日と変っていない。入力ミスですか???」
「心理テストの内容がおかしいです。設定ミスですか?」
「何で花占いが付いているんですか? 全然意味が分かりません」

 思いばかり先行して、トラブル続出。結局手で占い続ける事は断念し、全ての情報をプログラミングし、間違いが起こらぬようかなり複雑なロジックを組んだ。それでも暦が変ったりするとミスを連発し、やっぱり苦情メールが続出。でも読んでいただける読者の方々居る事が嬉しかった。その後欧米で人気の聖人占いやパチンコ占いを発表したが、何しろ週5日発行のマガジン。すぐネタに詰まってしまい頭を抱える事となってしまった。

「新しい企画を……どうしよう!!!」

 他のClipシリーズは2人から3人のスタッフが担当していたのだが、FortuneClipに関してはデザイン以外の部分は全て私が担当。頭を抱えていても誰も助けてくれない。創刊して一年。心理テストのネタも枯渇した。次は夢占いでもやろうかと思ったが、残念ながらこれはそう簡単にメールマガジンのコンテンツ化出来るような代物では無かった。

 その後他の占いメールマガジンを研究し思いついたのがコラムを連載で掲載する事であった。占いマガジンはやはり一つの”読み物”であるべきでは無いのだろうか。朝一番にメールを開いて何となく笑える役に立つ話が読めたら楽しいのでは??? 心理テストの次の企画はこうして決まった。

 実際に文章を書く事は好きだったのだが、定期的に書くとなるとやはりかなり無理があった。一週間分のコラムを大体一日・4時間程で書き上げるのだが、その前の資料集めは一週間かけて、新聞を取っておいたり調べに行ったり。始めた当初は”心理テストに戻せー”と言うクレームが多かったが徐々に文章が上達して行く内にそうしたメールの数は減って行った。結果半年ほど前にメールマガジン紹介マガジン”メルデリ・フリーペーパー”にて面白いメールマガジン募集のアンケートを取った所、数人の方がこのFortuneClipを押して頂き本当に嬉しかったのを覚えている。

----------------------------------------------------------------------

「占いのほかたまにためになるコラムも載ってるから」

 ありがたい。喜びのあまり涙が出てしまいそうになったのを覚えている。
 メルマガ作者と言うのは以外とクレーム以外の感想と言うのは貰えない事が多いのである。

----------------------------------------------------------------------

 それら皆様の声を励みに今日までこのFortuneClipを続けて来たのですが、突然ですが本日を持って廃刊とさせて頂きたいと思います。皆様のメールアドレスは全て削除し、新しいマガジンに移動すると言った事は一切致しませんのでご安心下さい。

 他のClipシリーズは担当者を変えて今後も続刊の予定です。色々と楽しい思い出をありがとうございました。日記や個人で出している子育てメルマガの方はまだ続ける予定ですので、もし宜しかったらそちらをご購読下さい。長い間。一番長い方は3年程でしょうか。本当にありがとうございました。これからの皆様の発展向上を心からお祈りしています。

心からの感謝を込めて。ありがとうございました。
池田智子