0911

 行きつけの投稿サイトにおいて、”0911”と言うテーマでコラムを募集していた。”0911”? どこかで聞いた事があるような気がするけれど、どうしても思い出せない。暫らく経って毎朝読んでいる新聞においてその意味が判明した。”0911”=”アメリカ同時多発テロ”と同意義であり、この日付を一生忘れない為にアメリカではこの事件の呼称をこの数字一つに統一したと言うのである。

「勝手に決めないで欲しいなあ」

 1年前のその日の事件について、私は私なりの意見をまとめFortuneClipでもご報告させて頂いた。このコラムは大変好評であり、気がつくと現在Googleで”オサマ・ビン・ラディン”と検索すると32番目にヒットするまでになっていた。

 オサマ・ビン・ラディン〜アメリカ同時多発テロを考える
 http://office-ikeda.sytes.net/column/backnumber18.htm

 バイクを預けた米兵士は無事帰国し、預かったバイク屋さんは胸を撫で下ろしたと言う話を数ヶ月前に聞いた。チェックは厳しくなったが、やはり数ヶ月前基地への出入りも可能となった。

 我々が”戦争”を身近に感じる機会と言うのは少ない。大きな銃を持った兵士が車の中をチェックし、歩き回る姿と言うのは子供にとって恐怖の対象であったらしい。9月11日前は基地内の英語教室に通っていたが、それ以後は子供が怖がる為自然と足は遠のいて行った。1年経って感じた事、そして分かった事などを今回は取り上げてみたいと思う。

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 1年が経過したとは言え、
 犯人であるオサマ・ビン・ラディン及びその支持者であるオマル師は今だ掴らず、特別警戒態勢が取られた犯行当日は近くにある米軍基地は9月11日を直前に轟音を響かせ、戦闘機を多数飛ばしていた。報道されなかっただけかもしれないが、実際大した事件は起こらず、アメリカでは櫛を持ったアラブ人をテロと間違え飛行機を停止させたり、複数人でトイレに入ったアラブ人をテロだと思いこれまた飛行機を緊急着陸させると言う事件が発生した位である。

 それら以外は特にトラブルも無く厳正に記念式典は行われ、犠牲者の名前が一人づつゆっくりと読み上げられていた。式典に合わせテレビでは特集記事が組まれ、”その時カメラはビルの中に居た”と言った内容の衝撃映像が放送されていた。

 内容については1人の新人消防士が1人前になるまでの姿を描いている物なのだが、真実の映像の衝撃は凄かった。死亡した日本人は24人。アメリカ政府は自国民・他国民を問わず一律の費用負担を発表した。これは追突した飛行機の航空会社を潰さない為の措置であるが、例えば日本でこのような事件が発生した場合は国が費用を負担すると言った事は一切無いそうである。流石アメリカは移民の国であると言った所であろうか。かくして1周年記念式典は悲しみの内に終了し、アメリカのブッシュ大統領はテロに対する激しい怒りの発言をテレビモニターに繰り返していた。

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 テロの余波はアルカイダなど実行犯に対する物だけでは無く、アメリカに住むアラブ系住民にも広がっていた事を皆様はご存知だろうか。

 1年前のニュースでは笑い話のようにオサマ・ビン・ラディンに顔が似ていると言った理由だけで殺されてしまったガソリンスタンドの店員を報じていたが、今もまたそうした空気は薄まる事無く、テロ撲滅の為アメリカにおいてアラブ系やイスラム教徒への”ヘイトクライム”(憎悪犯罪)と呼ばれる行為が、人権・社会問題として大きな問題となっている。

 アラブ系の人間が飛行機に搭乗する事を拒否し、理由の無い解雇を行ったりとした暴力を伴わない一般市民の物から、多数の人数が集まる、イスラム教の礼拝所やセンターを銃で襲撃したりKK団さながらの行動まで。あまり日本で報道される事は少ないが、被害は恐ろしい勢いで広がり、危機を恐れたアラブ系の留学生は我先にと帰国しているそうである。

 日本が真珠湾を攻撃し、開戦した時も似たような現象があった事は有名な話である。山崎豊子の”二つの祖国”などを読むとそうした事件について詳細に触れているが、アメリカ国籍を持つ日本人が差別され、屈辱的な収容所送りとされ、場合によって健常者は危険な戦場に送られたと言う。アメリカは平等の国であると言う。しかしこうした民族関連の事件が起こった場合は過去の歴史からでもそうでは無いことを我々は忘れてはならないと思う。「戦争が始ったら株を買うな」と言う人も居るが、個人的には「戦争が始ったら母国に帰れ」と思う。ファッションのようにとにかくアメリカに住みたいと言う人も居るが往往にして起こる可能性があるこうしたデメリット、事件がある事も認識しておくべきであると思う。

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 テロによって1つの世紀の恋愛が引き裂かれた。
 1999年に米兵と駆け落ちしたバーレーンのお姫様メリアム=アル=ハリファ 王女は親の一切の説得に応じず、昨年ついにアメリカ市民権を獲得したのだが、今回のテロを受け家族の説得に応じ帰国したのだと言う。

 彼女が1年後の今アメリカに帰国したと言うニュースは届いていない。夫は帰国の際、同行していないそうだから自然とこの恋は破談と言う形で終ってしまうのかもしれない。この悲恋話? は現在20世紀Fox社によって映画化される事が噂されている。

 9月11日が過ぎると同時に、日本のテレビからはツインタワーの映像が消え、基地へやって来る戦闘機の数も減った。来年もまた同じ時期に大騒ぎが始るのであろうか。1年が過ぎ去って感じた事は人は困った時に本性が見える物だと言う事であろうか。力には力で。テロに対しては断固とした態度で臨む事は必要であると思うが、そろそろ人間として別の方法を考えてみてはどうかと思う。アフガンではまだ騒乱が続いている。


アメリカ・テロ事件に関するアラブ系住民への暴力・差別行為
http://homepage2.nifty.com/INDI/jp/attack2.html
お姫様、恋の逃避行
http://www4.airnet.ne.jp/otto/sitenlog/news000723.html
駆け落ち王女婚姻を解消、バーレーン帰国
http://www.mainichi.co.jp/entertainments/geinou/0110/01-01.html
19歳王女 命懸けの駆け落ち(写真付き)
http://www.sponichi.co.jp/society/kiji/2000/07/16/06.html
ゴザンス 0911特集
http://www.gozans.com/gm/