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夏休みに読んでみたくなる漫画

 梅雨も明け、暑い日が続いています。子供たちは夏休みに突入し、日々真っ黒に日焼けし、遊び楽しんでいる事と思いますが、親はそうはいかない。夏とは言え、どう転んだって仕事があり、休めるのは夏休み、盆の前後の数日だけと言う方が多いと思います。

 今回はそうした夏の暑い日に、クーラーの利いた部屋でノンビリ読んでみたいなと思う小説では無く漫画を集めてみました。男性向け、女性向と言うのであれば、今回はどちらかといえば男性向けの漫画が多いですが、実際女の私が読んでみて違和感なく読める物ばかりですので、女性の皆様も是非挑戦していただければ幸いです。

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ブラックジャックによろしく  ISBN: 4063288250
佐藤 秀峰 著 価格:¥533
1-2巻発売中

 週間文春8月1日号にも取り上げられた大学病院医療をテーマとした内容である。
 書店でも販売促進を積極的に行っており、専用コーナーが設けられ、1,2巻が山積みされていた。

 大学を卒業した主人公が今まで夢見てきた"医者"と言う職業に疑問を感じ、成長していく様を描いた物である。

 ”死にたくなければ、夜間車に乗ってはいけない。
  万が一事故を起こしたとしても、まともな医者に診察してもらえる可能性は殆ど無い”

 主人公は涙を流しながら現実と夢との違いに悩み苦しむ。高齢者医療の問題、病院間の学閥問題、新聞や雑誌などを多読する人にはありふれた、既知であると言う人も居るかもしれない。しかしこうした病院間の”タブー”とも言える内容を、暗く説教臭くなり過ぎず、まとめあげた作者の力量は認めざるを得ないだろう。先だって国会でサラリーマンの医療費負担が3割となる事が決定された。この本を読んでいるとこうした負担額を単純に上げる事よりも日本の医療に対する改革を行った方が効率的では無いかとつくづく思ってしまう。

 親が何気なくリビングで読んでいて、途中子供に後ろから覗かれたとしても、決して恥かしい内容ではありません。夏休み何か読んでみよう。でも小説までは…… と思う方にオススメです。

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からくりサーカス ISBN: 4091253318
藤田 和日郎 著 価格:¥390
1-23巻 発売中

 現在週間少年サンデーにて連載されている本である。
 前作”うしおととら”も良かったが、中だるみ感が抜けなかったのを良く覚えているが、今回の作品はプロットがかなりしっかりしており、ポンポンポンと小気味良い程にストーリーが進んでいく。

 難病”ゾナハ病”に罹った主人公が、大きなスーツケースを持った少年才賀勝に出会う所から話は始まる。少年に襲い掛かる”オートマータ”と呼ばれる自動人形。そしてそれを撃退するのも”マリオネット”と呼ばれる人形だから中々設定が面白い。

 何気なく前作を知っていたので、一巻を買い読み始めたら、続きが知りたくて慌てて本屋に駆け込んでしまったのを良く覚えている。設定が面白い。キャラクターが個性的で、展開が飽きない。

 一見唐突な設定にも見えるが、錬金術に関連する書籍などをちょっと調べてみると作者がかなり勉強してこの作品を作り上げた事が分かってくる。錬金術師の最大の成果”柔らかい石”とはつまり”賢者の石”の事である。万病を治し、人形に命を与える。読み始めたら止まらない。どちらかと言えばファンタジー系であるとも言えるが、一つのエンターテイメントと言っても差し支えない楽しさ。大人でも小学生でも読める内容であり、夏休みに漫画にはまってみたいなと思う方にオススメです。

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ベルセルク  ISBN: 4592135741
三浦 建太郎 著 価格:¥505
1-23巻 発売中

 ファンタジー系漫画の最高峰は、と言われ、この作品を上げる人は非常に多い。

 生贄の烙印を押された主人公”ガッツ”が闇の中で血を吐き喘ぎながらも復讐に向けて闘う姿を描いた作品である。単純にプロットを言ってしまうと単なる熱血系とも思うのだが、サブで出演する妖精”パック”や家出少年”イシドロ”など暗い内容になりがちなストーリーを嫌味無く違和感無く盛り上げてくれる。好き嫌いが分かれる漫画であるとは思うが、一度はまるとこの世界から抜け出す事は非常に難しい。

 私はと言うと大ファンで、単行本が出るまで待ちきれず、雑誌でも購読している。一巻に出て来た敵が徐々に巻を進む毎に出現し、作者の細かい気配りに驚きつつ、ついつい次のページをめくってしまう。絵も細かくどちらかと言うと劇画調である。

 ストーリーが進むごとにガッツは確実に強くなって行く。その強さが羨ましくも思い、しばらく先の事になるとは思うけれど、出来れば最終話では幸せになって欲しいなと思ってしまう。

 夏の暑い時期ちょっと怖い物を読んでみたいなと思う方にオススメですが、この漫画はあくまで青年向けの漫画です。小さな子供がいらっしゃるご家庭の方は読むのは夜にしておいた方が良いと思います。(ちょっとエロチックなシーンもあります。大した事無いと言えば大した事は無いのですが)もしかしたら怖くて夜眠れなくなるかも……しれません。

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HUNTER×HUNTER ISBN: 4088732626
冨樫 義博 著 価格:¥390
1-14巻 発売中

 ”もっと真面目に仕事せんかーーー”

 とついつい作者に言ってしまいたくなる作品である。週間少年ジャンプで連載されている内容であるが、休みが多く手抜きの絵も多い。

 ハンター試験と呼ばれる特権を得る事が出来る試験合格を目指し生まれ育った田舎の島から出て来たゴンは殺人を請け負い生計を立てると言う特殊な環境で育ったキルアと出会い成長をして行くと言ったジャンプ特有の、ある意味ヒーロー物である。
 
 いい加減な内容であるのに何故この作品に是ほどまで惹かれてしまうのだろう。もしかしたらそれは作者独特の嫌味の無い世界観のせいかもしれません。内容的には小学生から大人まで幅広く読める内容であり、女性でも読みやすい絵。とりあえずハズレの無い漫画を読みたいなと思う人にオススメです。但し前述した通りあまりストーリーは進まないので、気が短い人にはオススメでは無いかもしれません。

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パタリロ! ISBN: 4592111710
魔夜 峰央 著 価格:¥390
1-74巻 発売中

 これこそ夏休みでなければ読めない作品。
 全74巻。現在もまだ鋭意連載中である。ここまで大量の冊数となると、夏休みにまとめ読みをする他手はつけられなくなってしまう。

 内容は大体、マリネラの少年国王”パタリロ”がイギリスMI6のバンコラン少佐やその愛人マライヒとはちゃめちゃ騒動を引き起こすと言った内容である。流石に巻数が進むとネタがなくなるのか、ある時は時代劇風に、ある時は悪魔や魔界と言ったおどおどしい設定を採用し、巻数を重ねている。

 絵自体がしっかりしており、はちゃめちゃとは言っても一定の法則を持って話が作られているので、「それは違うでしょ」と思う事はそう多い事では無い。一冊、ストーリーの一つ一つが独立している事が多い為日を分けて、ノンビリ読み進んでも楽しい内容である。

 しかし、出来れば小学生以上、中学生位から読んで欲しい内容であると思う。設定の世界が少々特殊(男性が子供を産んだり、ロリコンが居たり)なのであまり小さな子供が居るご家庭にはオススメではない。巻数も多い事であるし、これは出来れば駅前の漫画喫茶などでノンビリ自分の世界を作りながら読むのが一番良いのでは無いだろうか。又最近は”パタリロ西遊記”なども4巻まで発売され、新しい世界が展開されている。

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 さて、今回の漫画評如何だったでしょうか。
 次回は少女漫画編をやっても面白いかなと思いますが、如何な物でしょう。”日本のサラリーマンは大人になっても漫画を読んでばかり居る”、と外国人記者は嘲笑しますが、漫画は既に一つの日本文化であると思います。今回ご紹介した本はどれも結構考えさせられ、面白いです。お時間ありましたら本屋さんを覗いて見て下さい。

 ではまた

 


 

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