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中国毒菜 〜毒ほうれん草は何故生まれたのか

 日本と中国は古来遣隋使の時代から様々な形で交流が持たれていた。

 同じアジアの国として、お互いを助け合い良い形での物々交換が続いていたはずなのだが、ここの所は中国から日本に入って来る製品について、2001年頃から様々な余り良く無いニュースが飛び交うようになった。

 まず最初にあったのは2001年3月にネギ、生シイタケ、畳表などに対するセーフガードの発動であろう。つまりこれは今まで3-6%の関税を支払えば輸入出来た製品について、一定の数量を除いて106-266%の追加関税を課すと言った超法規的な処置の事である。

 国内の生産者を守る為と言う名目で仮発動されたこの法案は、中国側に悪意を持って迎えられ、日本車の輸入に対して関税を100%に上げる事を中国側は発表した。その後2001年12月には正式発動を回避し、関税率は元に戻り現在に至っている。

 気がつくと、国が規制を行わなくてはならない程中国野菜が日本国内に入り込んでいた。ニュースになって改めてその事実に我々は気が付いた訳であるが、その後日本に輸入されていた冷凍ほうれん草に基準値を越える高濃度汚染が認められたとして大騒動が起こるのである。

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 今回の報道を受けた後の食品各社の動きは早かった。冷凍食品売り場からはあっという間に冷凍ほうれん草が姿を消し、お弁当用品として愛用していた我が家は困惑を隠せなかった。日本のほうれん草に対する検査基準が非常に厳しい事も一つとして上げられる様だが、中国国内の基準と照らし合わせても、十分に基準を超えていたと言うから驚きである。

「この野菜はあくまで輸出用さ。我々は食べないけどね」

 農薬を大量に使い生産した作物の前でニヤリと笑う中国人農民の姿がテレビに放映された時、大概の日本人は恐怖を覚えたに違いない。中国は社会主義の国である為に定められた規定量を超え生産できた分については自分の物にする事が出来る。そうした作物については自由市場などで販売する事が出来るのである。生産量を増やす為にはどうしたらいいのか。農薬を合理的に使えばいい。ちょっと考えれば答えが見えてくる。別の中国人のコメントによると

「我々は今まで"農薬を使って農作物を作る"と言った事について深く考えた事が無かった。農薬を使った事による弊害を考えるよりも、単純に生産物を増やす事にしか考えが回らなかっただけなのだ」

 前者のコメントよりも後者のコメントの方が今回の事件の深層を突いているような気がする。無論。そのように口に入れる食物に対して無知を振り回されては全く困ってしまうのだが…… 実際中国の農民の7割は農薬による健康被害を認識していないそうである。

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 受け入れ側の日本の検疫も加工食品にあたる場合は事件が発覚する3月まで、無検査であった事も一つの問題であったようである。無論加工食品を輸出する場合は輸出国の方の基準に沿っている事が一つの国際基準であるようなのだが、そうした常識は残念ながら中国側には無かったようである。現在調査官などが中国へ出向き本格的な調査が実施されたようだが、日本のスーパーでもめっきり中国野菜を見かけなくなってきた。

 考えてみれば、数年前中国に留学していた時でも絶対に生では野菜を食べなかったし、食べる習慣は無い様だった。野菜を買ってきた場合は綺麗に水で洗い、場合によっては野菜用の洗剤! で洗浄し、十分に火を通し、どうしても生で食べる果物などは、必ず皮を厚く剥くようにするよう指導された。

 その時は野菜の生育には中国は人糞などを使用しているの為、寄生虫が付いている可能性があるからと説明を受けたが、もしかしたらこの時点で農薬を大量に使用した野菜についての危険性について中国人の間では知られていたのかもしれない。実際に中国に農薬が入ってきたのは今から30年近く前からであるそうで、日本に対する輸出が増えていた留学当時は絶好調に農薬を使っていた事が農薬の使用量などの遷移グラフなどからも容易に読み取る事が出来る。

 実際に一度だけ、北京において日本風レストランにて生のトマトを食べただけで酷い下痢を起こし、数日寝込んだ事があった。「もう二度と中国では生野菜を食べないぞ……」力強く誓った事があったが、あれも、もしかしたら残留農薬によるちょっとした被害であったのかもしれない。

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 今回の事件に関しては中国側も非を認めるのか、それともこのまま押し通すのか。「日本の中国製品に対する陰謀だ!」と言ったら面白いと思うが、押し通した場合日本人はどんなに安くても、中国製の野菜は誰も買わなくなるであろう。実際に香港などの新聞においては"毒野菜"と評され、その被害が報告されているのだと言う。中国の新聞”中国青年報”12/17号によると、"毒野菜"を食べた事による被害者は年間10万人に及び、被害者は眩暈や手足の麻痺を起こし、最悪死に至る事があると言う。

 今後秋から冬に向けて輸入される野菜にはより残留農薬の可能性が高いのだという。属に根菜と言われるジャガイモやニンジン、玉ねぎなどがそれにあたる。より長い期間農薬に汚染され続けていたと言うのが残留量の多いその理由である。

 ここで怖いのはたとえこれらの野菜が検疫において不合格とされても、"青酸ガス"と"臭化メチル"で消毒され、日本国内で流通していると言う事実である。この臭化メチルは、発疹や精神機能障害が起こす毒性を持つ薬品なのである。

「中国の物なんか買うなよ。多少高くてもいいから国産を買え」

 旦那は冷たくこう言い放つ。自分の体は自分で守る。当たり前の事であるけれども、今回の事件を受け、中国から日本への輸出に対する検査は6項目から40数項目へ増加され、中国政府は「輸入を制限して国内市場を保護するものだ」と発表している。現在中国本土で使用される野菜の検査基準合格の比率はどんどん上がってきているそうだが、輸出用の野菜についてはまだ徹底していないらしい。検疫強化に100億ドルかかった、などと中国政府は意気込んでいるが、日本及び及びEU各国は現在中国野菜に対して警戒を強めており、それは当面止む気配を感じる事は出来そうにない。

中国の農薬 O沢さんからの情報
http://plaza13.mbn.or.jp/%7Eyasui_it/Week020701.htm#label07061
「中国産野菜検査強化月間」の検査結果について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/02/h0213-2.html
中国輸入野菜から残留農薬  〜中国では5割が汚染、10万人が中毒〜
http://www.fuji-seou.org/seoulib020315_2.htm
いま食卓に急増する中国野菜は安全か(1/2)
http://www.nouminren.ne.jp/dat/200204/2002040109.htm
危ない野菜は作られる
http://www.foodrink.co.jp/backnumber/200204/news0414h.html

 



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