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ムネオハウス 〜日本のODN(政府開発援助)を考える

 先だっての国会答弁をきっかけに、日本中に激震が走った。人によってはもしかしたらこの単語は今年の流行語大賞の受賞さえ不可能では無いかもしれない、と思う程のインパクトであったのでは無いだろうか。
 先日、国会において四島支援でできた施設が現地で”ムネオハウス”と呼ばれていると言う事実が共産党の佐々木議員によって写真付きで発表された。又その他十人乗りの四輪駆動者は”ムネオ号”、同時に設立された診療所は”スズキムネオ診療所”と呼ばれているのだと言うのである。写真で見る限りでは”ムネオ”の文字は横断幕に記載されているのみであり、建物に刻印されている訳ではない。無論これらの施設は国民の税金によって購入及び建築された物であり、鈴木宗男議員の私費から出ているものでは無い。であるからして、このような名前で呼称される事は非常に不可思議な事であるのだが、北の果てで一体どんな事件が起こったのであろうか

参考URL
アサヒコム ムネオハウスの文字は確認できず
http://www.asahi.com/politics/update/0216/002.html
「宗男ハウス」国後島の施設に呼称 予算委で佐々木氏指摘
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020214-00002121-mai-pol
ODA疑惑浮上、国後島「宗男ハウス」
http://www.nikkansports.com/news/society/p-so-tp0-020214-11.html
ムネオハウス 無競争入札
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik/2002-02-16/02_0103.html
外務省ODNホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index.html
経費削減6兆…財務省が予算案のメリハリ報告
http://www.odn.ne.jp/odnnews/20011225ib30.html

 一番最初にこの問題が取り上げられたのは、今回の国会答弁においてでは無い。昨年の五月二十二日付けの産経新聞において、”外務省研究”においてこの問題点が指摘されている。建物の正式名称は”友好の家”と言い、ユースホテルに似た二階建てのプレハブであり、食堂の壁には鈴木宗男議員の写真が飾られているのだと言う。建築の際便宜を図ってくれた政治家に対してお礼を込めて名前を付ける。それ自体は利用する個人の問題であると思うのだが、今回問題になっているのは、建設をした際の業者が無競争で入札を行い、鈴木宗男議員に対して毎年定期的に企業献金を行っている事が問題になったのである。元々この建物はODN予算枠外で建築されている為、ある意味政治家の手の入りやすい場所であったと言えるのかもしれない。

 意外と知られていなのかもしれないが、日本で一番企業献金を受けている政治家は加藤紘一自民党元幹事長であるが、鈴木宗男議員も並み居る議員を押さえ込み三位にランクインしている事に気がつく。収入内訳を見てみると、資金管理団体が1億4200万円、政党支部が3億200万円。中でも注目すべき企業・団体献金は2億5200万円で政党支部収入の83・4%を占めている。発表された当時、「これはどこかおかしいのでは無いか・・・」と記事として取り上げた新聞、雑誌も少なく無かった。(企業献金では一位)献金した企業数は約八百五十社であり、北海道内の建築業者が多いようである。

 公共事業を優先的に斡旋し、その見返りとして企業献金を受け取ると言う絵図が見えるような見えないような気がしてくる。数年前東京都石原都知事は「車よりヒグマの方が多い」と不必要論を展開し、鈴木宗男氏が「うそはいけない。釈明しろ」と反論している記事を見つけたが。個人的には石原都知事があっていると思う。
 実際に数年前北海道の高速道路を走ってみたが、本当に車が殆ど通っておらずあまりにスカスカなのに驚いてしまった。お金が勿体無いからと一般道路を走ってみるも、都会の道路よりも広く、しっかりとアスファルトで整備されており、80キロ前後で走行しても問題が起こる事は無かった。実際に「十勝スカイロード」は「スカスカ道路」と呼ばれ一日の交通量は1000台程度であり、日本で一番使用頻度の低い高速道路となっているようだ。

 高速道路も夕張で終わってしまうのでは無く(当時)札幌など大都市にまで繋がれば用途も増えるのかもしれないが、当面その予定は無いと言う。(しかし東には伸びつづけるそうだ)北海道を温床とした利権問題の根は我々が思っているよりも深いといえるのかもしれない。

 今回の事件について、北海道在住である友人に僭越ながらご意見を伺ってみると、以下のような回答を頂く事が出来た。ここに引用させて頂くと

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 宗男ちゃんにも困ったもんです(苦笑)

 高速道路…確かに役に立ってないですね。大体みんな普通の道路でも平均時速80キロ位で走ってますから。わざわざお金払って走らなくてもわき道広いから一緒って感覚です。結局、日高山脈越えない事には札幌まで行けないので意味無いですよ。同じ道内でも中標津から札幌まで6時間は掛かっちゃいますから。

 最近は落ち目気味だけど、地元で勢力強いのは土建業だったりとか、北海道人にとっての車の通常速度は速度制限+30キロだったりとか、毎年何件も鹿とぶつかる事故があったりとかそんな感じですね。流石にクマとの事故は1例くらいしか聞いた事無いですが。

 郊外に出ると、農道とかの目的で広くて立派な道路が沢山通ってます。今も釧路へ向かう国道に大きくて複雑な立体交差の交叉点が建設工事中です。あれって何につかうんでしょうね…。

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 そもそも今回もう一つの槍玉にあがっているのは、”ODN”と言う問題では無いだろうか。もともとODNとは政府開発援助の略であり、開発途上国に対して資金的に援助を行い、人々の生活の質の向上させ、貧困人口の割合を半減させることなどが大きな目的である。
 無論この考え方は日本国内での考え方であり、中国などにおいてはODNは戦争の際かけられた迷惑に対しての代償であると思っているようである。つまり”経済協力”と思っている様なのである。あるからして中国がベトナムなどに援助を行っている事についても、日本側はおかしいな、と思ってはいても中国側としては何らおかしいとは思っていないのが現実である。1979年以来、日本は6兆円以上のお金を中国に援助して来た。しかし現在日本は平成不況の中、政府の責務、借金は広がるばかり。

 昨年このODN予算に歯止めをかけようと当時の政調会長である加藤静香氏がODN三割減を打ち出したが、結局前述の鈴木宗男氏の批判により、三パーセント減に抑えられてしまうと言う事件が発生した。無論国単位で約束していた援助を急に断ると言うのは難しい事であるのかもしれないが、本家本元が大火事なのに、他人の家を助けてどうなるのであろうか。答えは誰が考えても簡単であろうに、その答えを実行に移す事が出来ず、結局日本は不況を何年も続け泥沼のような状態になってきている。
 
 事件が発覚して一ヶ月以上経つが、未だに疑惑の真相は解明されていない。有耶無耶で終わってしまうのか、それとも真相が解明されるのか。小泉改革の成功の鍵はこの辺りにあると思うのだが、如何な物であろうか。今後もこの問題には注目していたいと思う。

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