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 我が家は旦那と私の二人暮らしである。共働きである関係上、恥ずかしながら家の中は必然的に乱れてしまう事が多い。ゴミ箱は溢れ、ホコリが飛び散っているのは日常茶飯事である。そんな中、旦那の母親が抜き打ちのように家へと遊びに来た。

「これは酷すぎるんじゃない。あんたもう少し家事をしたらどうなの!主婦失格よ!」

 帰り際呟くようにこう言って旦那の母は去って行った。私は怒り心頭である。両方働いているというのに何故私だけ責められなきゃいけないの!!旦那に今日あった出来事を話すと予想外、旦那は「お袋の全く言う通り、お前はもっと家事をしないといけないよ」と言うではないか。

 私も働いているのに!もう許さない!

「じゃ、言わして貰います。仕事と家事を両立させる為、まず、洗濯機は今流行の1時間で洗濯乾燥が終わるタイプへと変更させて頂きます。そして当然台所には全自動の皿洗い乾燥機を買って下さい。お蒲団干しも女手一つでは大変なので、干す必要の無いウオーターベッドに変えて下さい。
 掃除はやはり細かい所は大変なので、定期的に家政婦さんに来て貰う事にしましょう。週一度であればそれ程お金はかからないはずです。
 普段する掃除も今使っている重いタイプの掃除機は廃棄して、最新型のコードレスの掃除機を購入して下さい、そうすれば掃除の回数も増えるはずです。
 普段のご飯は基本的に外食!もしくはケイタリングを利用するようにしましょう。これで家事は万全、文句は無いでしょう」

 息もつかず、ハアハアとここまで一気にたくし上げると、目の前で食事をしていた旦那が突然床に土下座し、深々と頭を下げた。一体何を始めるつもりであろうか

「私が悪うございました。ぐうたらのままで結構で御座います。そのような無体な器具導入はどうぞご勘弁下さい。家計が破綻してしまいます」
「ぐうたら?今あなた何か余計な事言った?」
「とんでもございません。このままで結構。私は幸せでございます。さささ、ご機嫌を直されて」

 見え透いた態度、今言った全ての夢を叶えてもおそらく百万円もかからない筈。機嫌を直した振りをして椅子に座る。不況の今、働く女性は金の靴を履いた女と言われるんだから、大事にしないと罰が当たるよ!

 ぐうたら万歳!

「でも、もう少し家事を頑張ってくれたらな・・・」
「分かったわよ!週末少し頑張るから。あなたも手伝ってね」

 ぐうたら主婦の驀進はまだまだ続きます。 

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