ライン






おしゃまな恋

「みきちゃん大好き!」

 今日も又3歳になる娘の元へ、幼稚園の男友達が家へと遊びに来る。

「僕大きくなったらみきちゃんと結婚するんだ!」
「そうすると、もれなくおばさんがついてくるけどいいの?」
「???」

 幼稚園年少の子供に内容が分かろう筈も無く、会話はいつもここで中断され
てしまう。繰り返し、毎日この会話が繰り返されていたある日の事である。

「みき!けいすけ君が好き!」

 娘が突如、言い寄ってくる男の子の輪から離れた子と遊び始めたのである。
これは他の男の子も黙っては居ない。

「みきちゃん!こっちで皆で遊ぼうよ!その方が楽しいよ!」
「いやだ!みきはけいすけ君と遊ぶ」

 チヤホヤされていた娘が、急に甲斐甲斐しく1歳年上の男の子の面倒を見てい
る。何か変だ・・・急に何が起こったのだろう・・・

「こっちでお砂遊びをしましょ!みきおいしいケーキ作ってあげるから」

 娘は無理矢理けいすけ君の手を引っ張る。つい先日一緒に遊園地に出かけ、
その時の楽しかった思い出が残っているからであろうか、無理矢理誘う娘の言
葉に返ってきた言葉はこうである。

「けいすけ、みきちゃんよりバッタの方が好き」

 娘の手を振り払い、けいすけ君はバッタを捕りに虫取り亜美を振り回し、公
園を出て行ってしまった。がっかりと涙を浮かべる娘。やれやれ、まだまだ恋
愛なんて早いのに。

「けいすけくーんまってー」

 娘の初恋が終わるまで、十分かからなかった事はナイショにしておこう。



ライン