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書評 2001/11

 今週は趣向を変えて書評をお送り致します。ご紹介させて頂いた本の一部を最終日にプレゼント致しますので、どうぞお楽しみに!

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PLATONIC SEX 飯島愛 ISBN4-09-402396-8 小学館文庫

 映画化もされ、各種の話題にも上ったた飯島愛の処女エッセイ集の単行本である。通常、書籍というものは2-3年以上経たないと単行本化されない事が多いが、この本に関しては何と1年!という短期間で単行本化された。これは驚くべきスピードである。
 
 このスピードに関して考えるのであれば、もしこの本が今から3年前に出版されたのであれば、内容的にあまりにも過激である為これ程話題に上らなかったのかもしれない。又これから数年後に単行本化されても、読者的には熱が冷めてしまっており、販売効果が無いかも知れないと言う判断が働いたのかもしれない。

 内容的には過激、というよりも心理描写的な部分も多く、共感出来る部分も多数存在する。特に思春期から青年期に当たる部分の家族との確執については、今となってはどこの家庭でもある事であるが、そこに正面切ってぶつかっていく作者は悪まで潔く、しかし他人を全く思いやっていない点について、本人は後で反省しているのだが、”若い”のだなと思ってしまう。

 タレント本というとゴーストライターによる執筆と考えられる事も多いが、おそらくこの本に関しては本人が書いたと思う。文体的には正直書き慣れていない、特に前半部分に読みにくい部分が多数存在するが、自分の中の物を吐き出してしまいたい。という気持ちがひしひしと伝わって来た。

 どちらかと言うと女性向けの本であり、”親に愛された事が無い”と一度でも感じたことがある人であれば、読んでみる価値はあるかと思う。100万部突破は決して伊達では無い。単行本化された今、手に取る価値は十二分にあります。

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贈り物 ダニエル・スティール ISBN4-900430-80-3 アカデミー出版

 ”超訳”シリーズと呼ばれる、英語で書かれた文章を日本語に読みやすく書き直した書籍である。
 もし始めてのHで子供が出来てしまったら・・・このお話はそんな今ではかなりありふれた出来事から始まる。こうした場合、一番考えれるのは堕胎すると言う事であろう。主人公は親の説得に従い、修道院へと向かうが、結局逃げ出してしまう。
 簡単なストーリーを書き出すと非常にシンプルであるのだが、心理描写や主人公の前向きな姿勢は読んでいる間中、自分の人生と照らし合わせて勇気づけられてしまう事も少なくない。”前向きに生きる”という事は人生において非常に難しい事であるけれど、この本は何気ないストーリーの中からその大切さを教えてくれる。
 
 最後まで読み終わって、私はつい泣いてしまいました。新しい分野の本を読んでみたいと思っている人にはオススメである。この一冊から、ついついダニエル・スティールのシリーズ本を全て読み尽くしてしまう程はまってしまうかもしれません。私もついつい全シリーズ読んでしまいました。

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女盗賊プーラン 上下 プーラン・デヴィ ISBN4-7942-0746-8 ISBN-7942-0747-6 草思社

 インドの英雄。プーラン・デヴィの自叙伝である。彼女が実際に執筆したのでは無く、実際には彼女に数回に渡ってインタビューをし、そこからゲラ原稿を起こし、さらに修正を行うという手順を行う事により出来た本である。
 インドのカースト階級に生まれた彼女が、結婚を強制され、逃げだし、盗賊の妻となり最後は投降し、収監後は政治家に。義賊としても名高く、日本の鼠小僧のように、”弱きを助け、強気をくじく”というのを実際に行っていた女性の伝記である。
 
 この本が出版されたのは今から実に4年前。あとがきには”現在も命を狙われているため、二十四時間体制の警護を受けている”と記されているが、つい先々月、それが現実となった。主人公プーラン・デヴィは議会から帰る所を覆面の暴漢に襲われ、ついに帰らぬ人となってしまったのである。

 人生には屈しない。強い人間になりたい。
 今はもう伝説の人となってしまいましたが、一読の価値はあるかと思う。

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星投げ人 ローレン・アイズリー ISBN4-87502-360-X (ゲラ原稿より)

 自然派エッセイ短編集。
 作者ローレン・アイズリーは考古人類学者であり、20世紀を代表するアメリカのエッセイストである。”軽い読み物としてのエッセイ”ではなく、”考えさせられるエッセイ”である。
 是非、時間をみつけて、コーヒーなどをゆっくりと飲みながら、ゆったりと読んで欲しいと思う。北欧神話や戯曲の内容などの話も多数織り込まれ、読みながらゆっくりと映像を想像したくなる本である。
 作者が先生と言うこともあり、難しい内容も誰にでも分かるよう解説してあるので、ゆっくりと読む事さえ忘れなければ、誰でも読めると思う。
 
 題の一部は以下である。
 題を読むだけでも、センスが良く結構面白い。
 
 予知かなわぬもの;作者ローレン・アイズリーについて
 長い孤独;イルカの逸話が面白い
 惑星を一変させた花;花と地球の生物との関わりを論破。
 無邪気な子ギツネ;宇宙に向けた矢を5分巻き戻してみませんか?
 守護霊;幽霊を携えている動物”クモザル”とは?
 鳥と機械;機械について、作者が思うこと
 火の猿;公園のリスについて思う事
 イースター顔の島;イースター島について思う事
 蛙のダンス;探検家クラブでの出来事
 隠れた教師;教師とは?
 五番目の惑星;惑星間生物の骨を探しに行こう
 最後のネアンデルタール人;進化の過程を辿る
 星なげびと;ヒトデを助けに行こう!
 ・・・

 全20話。

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 本は埋める物では無いと思う。

 私の書棚に埋めてしまうよりも、できれば他の人に回して読んで頂きたい。
 オークションに出すことも考えましたが、大した金額にならないと思いましたので、今回は読んだ本を皆様にプレゼントする事にしました。
 書評を読んで、読んでみようかと思った方いらっしゃいましたら是非お気軽に応募して下さい。
 さて、来週は旅行記です。”紅葉の京都を行く。〜幕末の英雄。坂本竜馬の足跡を今追おうか”です。どうぞお楽しみに。



PLATONIC SEX
贈り物 ダニエル・スティール 
女盗賊プーラン 上下

 




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