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クリスマスプレゼントはどこに?

 12月。クリスマスの季節がやって来た。
 サンタの国、トムテムランドは大忙しである。

「今年も頑張って良い子にプレゼントを配りましょう!」

 サンタの王様は金色のサンタ帽をゆさゆさと揺らしながら、サンタ達に今年配るプレゼントの入った袋を一人づつに渡します。
 プレゼントは子供によって中身が違います。その年良い子だった子供に、その子の欲しい物をサンタはクリスマスの夜、靴下に入れてプレゼントするのです。悪い子には・・・残念ながらプレゼントは届きません。

「じゃ、今年も皆良い子達に宜しく夢とプレゼントを届けておくれ」

 サンタ達はトナカイの引く橇に乗って夜空に飛び立ちます。急がなくては夜中中にプレゼントを全員に届けられないかもしれません。

 シルバニアの村ではウサギの乱暴者で我が儘なみきちゃんが頭を抱えて悩んでいました。
 リスのミニーも、ネズミのトミーも、リリーも去年はクリスマスプレゼントを貰ったというのに、どうして私のは無かったのだろう・・・毎年サンタが忘れてしまっているのだろうか・・・

「そうだ!いいことを思いついた!」

 みきちゃんは寒い雪の降る夜空を、首にマフラーを引っかけて外に向かって飛び出しました。そしてそーっと静かに。リスのミニーの家の脇でこっそり隠れて待っていました。あ!屋根の煙突から赤い服を着たサンタがプレゼントを持って入っていくのが見えます。

 寒いながらも暫く我慢して待っていると、サンタは忙しそうに煙突から頭を出し、トナカイに乗って立ち去りました。みきちゃんは完全にサンタが見えなくなったのを確認してから、側にあった木からこっそりと屋根によじ登り、煙突から家の中に入りました。

 家の中にはスースー幸せそうに眠るリスのミニーの姿がありました。枕元の靴下の中にはピンク色のプレゼントがあります。みきちゃんはそーっと中に近づき、靴下の中のプレゼントを取り出しました。

「いただき!私って頭いいー」

 かくしてみきちゃんは友達の家々を回り、サンタが配ったプレゼントを回収して回りました。リリーの家のプレゼントを見つけた時、手の中には既にプレゼントが3つ、でも手は2本本しか無い。これじゃ1つ持って帰れないよ・・・みきちゃんは思い切ってプレゼントを3つとも開けてみる事にしました。

「いらないのは、置いて欲しいのだけ持って帰ろう!」

 いそいそ、楽しくみきちゃんはプレゼントを開けてみました。

 ピンク色の包装紙に入っていたプレゼントは赤いイチゴ味のキャンディー。緑色の包装紙に入っていたプレゼントはプラスチック製の電車。黄色の包装紙に入っていたのは可愛いウサギの絵の入った絵本でした。

「どれも私の欲しい物じゃない!」

 途方に暮れるみきちゃんの前に、ドンという音と共に赤い服を着たサンタが現れました。どうやら子供達がプレゼントが無いことに気が付き、サンタの国トムテムランドに電話で問い合わせた様なのです。事件発生!の報に近くを飛んでいたサンタが飛び込んで来ました。

「それはきみのプレゼントじゃ無いからだよ」

 怒られる!とびくびく耳を隠しているみきちゃんに、サンタは優しく語りかけました。そしてごそごそと袋の中からキラキラのプレゼントを取りだして、こう言いました。

「これはきみのプレゼントだ。君は毎年悪いことばかりしているから、どうしても渡すことが出来なかったんだ。もし来年君がいい子になれたのなら、私はクリスマスの夜一番に君にプレゼントを届けることにしよう」
「本当に?」
「良い子になって、他の子にプレゼントを返せるかい。約束してくれるかい」
「うん!」

 その後はサンタが橇でプレゼントを返すのを手伝ってくれました。

 パパとママの言うことを聞いて、良い子にしていればクリスマスにプレゼントが貰える。たったそれだけの事だったのに何て私は悪い子だったのだろう。みきちゃんはちょっとがっかりしながら布団に入りました。

 翌朝。
 今年は空っぽだけど、来年は良い子で頑張ろう!と思いベッドの側に吊した靴下の中を覗くと、何と中には昨日の夜見たキラキラのプレゼントが!開けてみると中にはサンタからのカードが入っていました。

「みきちゃん。クリスマスおめでとう。今年は大サービスだよ!」

 やったやったー。大喜びのみきちゃん。中には一番欲しかった16色もある大きなクレヨンのケースが入っていました。

「私良い子になる!」

 かくして良い子になったみきちゃんは次の年も、その次の年も、自分の一番欲しいプレゼントをクリスマスに貰えるようになったのでした。

 メリークリスマス!



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