ライン






   正しい?焼き芋の作り方。あなたは本当に知っていますか?

 幼稚園年少さんの娘が、幼稚園のイベントの芋掘りで大きな大きなサツマイモを貰って帰ってきた。
 顔は一応先生がふき取ってくれたのであろうが、所々、髪の間や靴下の中、そしてパンツの中にまで泥が飛び散り、燦々たる状態であった。季節的に寒くなってきた為、シャワーに入れるわけにもいかず、温かいタオルで体をふき取り、洋服をひと揃え交換する。

 「いもほり楽しかったの?」
 「たのしかった!」

 屈託のない笑顔。受け取った大きなビニール袋の中には”これでもか!”というサイズのサツマイモが4本入っていた。しかし子供が掘った物である為、ピンク色の皮のあちこちは破れて白い肌が露出してしまっている。これは早く食べなければすぐ腐ってしまう可能性が高い。

 掘ってきた本人は、掘ったことで満足してしまっている為か芋を渡した次の瞬間、全く別の物で遊んでしまっている。
 庭の水場にて綺麗に芋の泥を落とし、芋の尻尾の部分両端を包丁で落とす。昔から良く教えられた事なのだが、芋はこの両端を落とさなければあっという間に腐ってしまうのだが、この両端さえ落としておけば、十分冬を越しても食べることが出来るのだという。

 「さて、どうやって食べようか」

 悩むまでもなく、どうして食べるかは大分前から決めていたのだが、やはりそう自分で口に出して言わなくては勢いがつかなかった。何故なら、その方法で食べるには、田舎暮らしの頃と比べ現在はそうそう道具も場所もみつから無いことが想像されたからである。でも、娘にもこの楽しみを教えてあげたい。そう思い娘にこう囁いた。

 「焼き芋しようか。楽しいよー。ママ小さい頃よくやったんだ」
 「やきいも?うってるやつ?」

 それは違う・・・

 そのまま娘の手を取り、近所のアウトドア専門店へ。ここで焼き芋をする為の道具を買おうと思ったのである。最初はバーベキュー用品を使ってみてはどうか・・・とも思っっていたのだが、夏のバーベキュー最盛期が終わってしまったせいか、なかなか良い物が見つからない。

 「それにバーベキュー用品では火が飛んでしまって、住宅街では危ないかもしれない・・・」

 結局悩んだ末、薫製作成用のドラム缶を購入。ただのドラム缶であれば、実家に戻れば200円も出せば購入できるのだが、ここでは1ヶ2480円。ただ火が飛ばない様な道具が欲しいだけなのだが、そんな単純な物はここには置いていないらしい。

 「次は落ち葉を集めるわよ!それいけー」

 家の前にある公園へ娘と共にドラム缶を持って走り出す。
 公園に落ちている桜の葉を必死に拾い、ドラム缶の中に入れる。葉を燃料として使おうという発想を持つ人間が居ないせいか、案外と落ちている物だなと思ったが、早々簡単に満タンにはならない。

 「これじゃ夜中になっちゃうかもしれないね」

 しかし、人海戦力。やれば何とかなるものである。様子を見た近所の子供達が”あたしもやらせてー”とばかり集まって来て、手伝ってくれるようになった。小学生のお友達はバケツなどを使って要領よく。幼稚園生のお友達は葉を一枚、一枚ずつ丁寧に。個性があって見ているだけでも面白い。段々完成までの行程を考えると楽しくなってきた。

 「じゃ、次はお芋を入れて焼きましょう!」

 芋は勿論こげないようにアルミホイルでしっかり保護をしてから、ドラム缶の中に入れる。新聞紙を使って落ち葉に火を付けたのだが、気が付くとあっという間に火は落ち葉に回り、とんでもないスピードで燃え尽きて行く。

 「このままでは・・・芋ができあがる前に落ち葉が無くなってしまう・・・」

 かくして今度は小枝を探して公園中を駆け回る事となった。小枝なんて早々無いだろう・・・と思いきやこれも結構落ちている。近所の大人も集まってきてああじゃない、こうじゃないと焼き芋奉行を始めるようになってきた。

 「焼き芋いいねえ。昔は良くやったもんだ」
 「何分ぐらいで出来るんですか?」
 「40分位かな。でも火が消えるまでそのままにしておいて、その後少しむらしてから食べると良いかもしれない」
 「そんなに待ってられないですよーとりあえず40分も焼けばいいんですね」

 奏功している内に日はとっぷりとくれてきた。子供は帰る時間である。

 名残惜しそうに子供達が一人、一人と家路へ向かう。「やきいも・・・やきいも・・・」と亡霊のようにつぶやいている子供達も居る。やっと40分が経った!ドラム缶の中の芋を新聞紙の上に取り出し、割り箸を使ってアルミホイルを取り去る。

 「楊枝が中まで刺されば食べられるわよ!」

 楊枝はすっと焦げたピンク色の皮を通過し、黄色い芋の内部まで入っていった。大成功である。もう帰らなくてはならない・・・という子供達が優先的に新聞紙にくるまった芋を受け取って帰っていく。芋はまたたくまに売り切れた。一番最後の方の一番大きな芋を受け取った娘は満足そう。嬉しそうにブランコに乗りながらホカホカの焼き芋を大きな口で頬張った。

 「どう、美味しい?」
 「おいしい。たのしいねーやきいもは。ママまたやろうね・・・」

 楽しい焼き芋。芋掘りはできても今都会ではなかなかできない事なのかもしれません。久しぶりに楽しいイベントでした。

 焼き芋の正しい?作り方。あなたは知っていますか?

(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)

余談

正しい?焼き物作り方・実践編

 道具 芋    小さい方がよい(早く焼けるため)
    ドラム缶 火がとばないようにドラム缶状の物が良いと思います。
         本当に普通のドラム缶を使用するのであれば、真ん中に風穴をあけた方が良いと思います
    割り箸  芋を取るのに、食べるのに、あると便利
    楊枝   できたかどうかの判定に使います。中まで刺さらなければもう少し焼くことになります
    竹    あれば、あったで、無ければ新聞紙を丸めて代用。風をドラム缶に吹き込みます
    ライター 勿論マッチでも
    新聞紙  着火用及びお皿代わりに。
         袋を作っておくと後々便利かも知れません

作り方 1.芋を掘ってきます(八百屋で買ってもok)
    2.ドラム缶に落ち葉や小枝を入れます。
     近所で家を建てていた場合は木の切れ端を貰ってきても良いと思います
     個人的には米の籾がらで作るのが好きです。
    3.芋をアルミホイルで包んでからドラム缶の中に
    4.火を付け、様子を監視します。
     水の入ったバケツを側に置いておくことをお忘れなく
     最初にドラム缶の回りに水を撒いておくとベターです。火が飛んでもすぐ消えます
    5.40分ほど待ちます。
     火が完全に消えるまで待ってもokです。
    6.芋を取り出して、楊枝で刺して中まで通ったら完成です。
    7.新聞紙にくるんで食べましょう(美味)

 その他時間の無い方は最初に電子レンジでチンしてから焼くという手もありますが、味については保証は致しません。
 電子レンジのオーブン機能を使用して焼いた場合も40分程度かかるという報告もされています。
 使わなくなった鍋に小さな石を敷き詰め、その中に芋を埋め、ガス台で焼くという手もあります。小さな頃やったので一体何分焼けば良いのかは不明です。

 以上。もし焼き芋をやる機会がありましたら、ご参考に。
 
       
 

ライン