オサマ・ビン・ラディン〜アメリカ同時多発テロを考える 現地時間9月11日午前9時 アメリカ・ニューヨークの世界貿易センターにハイジャックされた航空機が乗客乗員もろともつっこんだ。丁度ビジネスマンが朝食を終え、出勤してきた時刻である。 ビルの内外は大パニックに陥り、沈静されぬまま、数時間の後、砂の山が崩れ去るかの様に、我々の目前で崩れ去って行ってしまった。 「え?特撮???」 朝起きてこの映像を見た方は、そう思われたかもしれない。あまりにも突然で、衝撃的な事件であった。 日本では深夜とまではいかない、夜での出来事であった。筆者は丁度作業をしていた所であり、突然GOZANSのWriting-Space関連のメールマガジンが飛び込んできた。丁度22:10頃の話である。 >■ニューヨーク世界貿易センタービルに航空機が2機突っ込む >現地時間:午前9時前 >貿易センタービルは、ツインビルになっており、その2本のビルそれぞれに >一機ずつ衝突。衝突した機体はB737-200、120人乗りと推測される >ハイジャックされ、ビルに突っ込んだ可能性も取りざたされています。 >平日は観光客も含め、千を超える企業が入居、数万人の人間がこのビル内に >おり、安否が気遣われています。 [WS]【速報】NY世界貿易センタービルに旅客機2機衝突 Tue, 11 Sep 2001 22:10:00 本当か???ととたんに作業を中断し、テレビをつけた。とたんに映画のワンシーンのように飛行機が錐揉み状につっこむ映像が何度も写し出されるではないか。 「え???」 と思ったのは筆者だけでは無いはずである。国際貿易センターといえば日本企業も多数入居するニューヨークの看板ビルである。ニューヨークを訪れた観光客は必ずと言っていいほど、このセンタービルの屋上に登り、空から自由の女神見ると言われている。一本のナイフが巨大な砲弾に変わったのである。次々と突っ込んでいく飛行機。人の罵声と悲鳴、恐怖、そういったニュースの流れる中、ふと流れた名前があった。 「オサマ・ビン・ラディン。この事件をやるとしたら彼しかいない」 勉強不足ながら、筆者はこの人物について全く知らなかった。後日この人物の話題についてはより拡張され、放送されて行くのだが、早くも初日に犯人として名指しされていたのには驚いた。何しろ彼はこの事件が起こる1ヶ月前に犯行を予告していたというのである。テロという言葉を一番最初に感じたのは、例のオウム真理教の地下鉄サリン事件であるが、これを記者団は”これはテロでは無い”と評した。それは何故か、 「必ずテロには予告又は行動が行われた後発表が為される。 テロを行うことにより彼らは相手に恐怖や衝撃を与える事が目的なのであるから」 真実のテロとは何か、島国日本においては肌で感じることは少ないであろう。しかしそれがついに起こったのである。現時点では正式な死亡数は発表されていないが、死亡数はおそらく数千、又は1万人程度になるであろう。これは間違い無く一つの戦争である。前置きが長くなったが、今回はこの”オサマ・ビン・ラディン”氏について考えて行きたい。今後文中は”ビン・ラディン”氏とさせて頂く。ビン・ラディンとはラディン家の息子という意味であり、オサマ・ビン・ラディン氏の名字にあたる部分である。 (◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎) 無神論者が多い日本人において、宗教を理解するというのは非常に難しい問題であるのかもしれないが、まずビン・ラディン氏の考え方の背景を理解する上でも簡単にイスラム教についてご説明しておきたい。この宗教は事件が起こったアメリカでも2番目の宗教人口を持つ宗教であり、決して怪しげな新興宗教などでは無い。 起源は西暦610年頃、アラビアのメッカの町で平穏な生活を送っていた40歳ばかりの男に神の啓示が下る。その男の名前はムハマンド(マホメット)と言う。この彼の口を使って神がアッラーへの絶対帰依を説き、このアッラーからの言葉を収録したのが”コーラン”であり、この”コーラン”からイスラム教徒の六信五柱が作られている。 このコーランを引きちぎって道路に投げ捨てるという事件が半年ほど前日本において発生したが、おおよそ普通の人間がコーランを手に入れる事はまず不可能に近い。筆者自身かなり探したが、全く見つけることは出来なかった。実際その理由はコーランは教えの根元となる大切な書物であり、装丁、装飾についても工芸品の粋を凝らされている神聖な書物であるからである。 ともあれこのコーランの教えに従って、イスラム教徒が日に5回聖地メッカのカーバ神殿に礼拝をするのはよく映画などにも取り上げあれる為ご存じの方も多いかと思う。さて、神からの啓示を受けたムハマンドはメッカからメジナに移り住み、原初のイスラム信仰共同体を作ることになる。 現在この”メッカ”、”メジナ”はイスラム第一第二の聖地として、サウジアラビアに存在する。上記の理由からこの土地はイスラム教徒にとって特別な場なのであるが、さて、皆様は数年前に発生した”湾岸戦争”を覚えているだろうか。その際、アメリカ軍はクエート侵攻の為サウジアラビアに駐留した。それは決して”メッカ”や”メジナ”を荒らした訳では無く、駐留しただけであるのだが 「異教徒を聖地があるサウジアラビアに駐留させるなどもっての他である!」 と怒り狂った人物が存在する。それが今回の事件の首謀者では無いかと言われているビン・ラディン氏である。 「え、駐留しただけなんだけど・・・」 そう言ったのはアメリカ人だけでなく、同じイスラム教徒であるサウジアラビアの有力者達もそうであったに違いない。 「いや、これは許されない行為である!」 強弁にビン・ラディン氏は発言を変えようとはしなかった。 「更にアメリカ人は第三の聖地エルサレムを占領しているイスラエルを支援している。これはイスラム教徒として許せない事である」 「え・・・」 一時はアメリカの旗の元闘った事もあるビン・ラディン氏はこの一件により、母国であるサウジアラビアの国籍を奪われ、国を追われる事となる。 その後、3億ドルとも言われる巨大な資金を元にして様々なテロの支援者となり、現在アフガニスタン山中に4人の妻と複数の子供達、幹部と共に潜伏していると言われている。 ビン・ラディン氏はアラーを讃える言葉と共に、記者に語る。 ”アメリカ人は死ぬべきだ。早ければ早いほど良い” ”我々は軍服を着た者と民間人に区別をつけない。彼ら全てが標的である” これはファトアと呼ばれるビン・ラディン氏の正式宣言にも謳われている内容である。 これこそ国際センタービルを破壊した者の主張だと誰が疑うべきであろうか (◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎) 現在アメリカ軍はビン・ラディン氏及びそれらをかくまうアフガニスタンに対して攻撃を行うべく、ペルシャ湾に作戦を展開中である。米軍だけでなく、ソ連軍も先のアフガニスタン戦線において苦渋を舐めさせられた事もあり、今回の侵攻についてはかなり乗り気である事が伺える。アフガニスタンさえ抑えれば不凍港を持たないソ連はついにインド湾に抜ける港を確保する事が出来るのである。国交断絶、隣国パキスタンへの数万人単位の難民の流出。”21世紀最初の戦争が始まる”誰しもそれを肌で感じているのでは無いだろうか 筆者の住む大和市の空からは轟音奏でる飛行機の姿がめっきりと消えた。横須賀湾からキティ・ホークが出航した事と当然何らかの関係があるのであろう。(米国側は通常の訓練であると発表している) 座間キャンプ周辺の閉鎖も、自転車又は徒歩による来訪であればゲートを開く準備があるのだという噂も聞く。 出航前日、友人のバイク屋にバイクを預けていた米兵の人が非常に困った顔つきで、バイクを預かって欲しい旨、頼んできたそうである。 「次、何時来るんです?」 「いつ来れるか分からないけれど、とにかく預かって置いて欲しい」 (うちはそういった事はやっていないんですが・・・) 「どこ行くんです?」 「それは、言えません・・・」 「本当に帰って来るんですか???」 「・・・」 笑い話では無い。 結局バイクは預かることになったそうだが、こんな所にまで確実に戦果の炎のかけらは近づいて来ているのである。 (◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎)(◎o◎) 平和ボケした日本人 最近こうした言葉が良く聞かれる。テロの現場で堂々と記念撮影をする日本人の姿や”報復に報復で返しても何も生まれない”と当たり前のようにコメントする文化人。 例えば今回のテロに関して、本当にそうした場合どうなるだろうか 「ラッキー・次こそはホワイトハウスを狙うぞ!」 とばかり第二第三のテロが計画され、攻撃されるのがオチなのである。理想論だけを声高々に言うのは易いが、彼らはアメリカ人を一人でも多く殺すのが目的。それらには同盟国である日本も含まれる。日本のサンシャイン60ビルや横浜のランドマークタワーに飛行機がつっこむ姿を想像して欲しい。それでも”報復・・・”という言葉を言い続けることは出来るのであろうか。我々の知る正義などそこには存在しない。テロには断固とした態度で望む。ブッシュ大統領は「いかなる交渉、譲歩は行わない」と宣言した。こうした対策は現在世界の常識となってきている。 とは言え、文面だけでそれを理解せよというのはかなり難しい問題であり、額面道理教えられた事など何の意味もない。今回はビン・ラディン氏という名前の元にテロ事件がズームアップされているが、この機会に世界の孤児にならない為にも、イスラムの世界について考えてみるのも良いかと思う。皆様は今回の事件についてどう思いましたか? 次回はぐっと明るく”紅葉”です。どうぞお楽しみに! |
コ |