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金魚

夏祭り。

おぼろげな光を放つ提灯に誘われながら、浴衣を着た3歳の娘とそぞろ歩く。ワタアメ・駄菓子・たこ焼きとお祭り定番メニューが立ち並ぶ中、夕食を食べたばかりの娘は食べる物ではない”金魚すくい”の前に足を止めた。

「ママ、おさかなつかまえてあげるから!」

「やっていいよ!」と言ってもいないのに、「いらっしゃーい」の声も高らかに娘は、白い紙のタモ網を受け取る。以前は肌色のウエハースのタモが多かったのだが、最近は又白い紙のタモが多いようである。

プラスチックの容器に水を入れ、タモを勢い良く振り上げる。バシャンという水しぶきが上がり、あっという間にタモは穴だらけ。「やっぱり取れなかったか・・・」と思いつつ、サービスで赤い金魚を一匹ビニールに入れて貰う。どこにでもいる赤い和金である。

トントントンという祭り囃子が聞こえてきた。娘は折角貰った金魚を私に押しつけて走り出して行った。日本のお祭りの風物詩とも言える”金魚”今回はこれについてちょっと考えてみたい。ちなみに現在我が家ではお祭りで取ったのも含めて5匹の金魚が元気に泳ぎ回っている。なかなか可愛い。最近週末はこの金魚の備品を買ったり世話をしたりと大騒ぎしている事が多い。今回は金魚の魅力、面白さなど、夏の小学生の観察日記のように読み頂ければ幸いである。

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金魚とは一体何なのか。

別段”金魚”という特別な種が存在する訳ではなく、現在”金魚”と呼ばれている物はフナが突然変異した物である。(コイ科フナ属)お祭りで金魚を貰ったのだが、飼いきれ無いため川に逃がすという人が良く居るが、これはその川の自然環境を破壊することであり、メダカなどより小さな種を絶滅させてしまう可能性がある非常に危険な行為である。
実際”金魚を捨てないで!”http://www.geocities.co.jp/AnimalPark/3403/
といった運動も行われている。実際見ている限りでは、フナなどに比べて動きの遅い事が多い金魚は川に放したとたん水鳥の餌食になっている事は間違い無いのだが、現在金魚には様々な”種類”が存在する。折角なのでいくつか紹介しておく

ワキン;金魚すくいで一番いるタイプ。フナに赤い色が付いたという感じ、別名”エサキン”とも呼ばれ、近所の熱帯魚屋では100匹780円ほどで販売されている。

コメット;ワキンの次にペットショップで見かけるのがこれでは無いだろうか。金魚にしてはかなりスリムな形をしており、尻尾が長いのが特徴。動きは素早く、元気な金魚が好きな人にお勧めである。一匹500円程

キャリコ;形は丸形で動きが遅いように思われがちだが、非常に動きが早く、遊び好きな種類である。色も3種から5種入っていることが多く、非常に目立ち華がある。ペットショップなどでは余り見かけない一匹300円程で購入

頂点眼;長めの体型で、眼が上側を向いているのが大きな特徴。動きはノロノロと遅く色もオレンジ一色の物が多い様な気がする。一匹500円程

水泡眼;眼の回りに泡の様な頬袋を持った品種。長生すると非常に可愛い。動きも頂点眼と違い愛嬌があり可愛い。一匹300円程で2匹購入。目は見えない品種なので、餌をあげても音をたててあげないと上がってこないが、それはそれで愛らしい。頬袋は一度破れると二度と再生しないので、注意が必要である

ピンポン・パール;ちょっとおちゃらけた名前の現在大人気の品種。丸々とした体に宝石のような鱗が付いた新種である。愛嬌も良く、餌も良く食べる。中国名は珍珠鱗と書く。一匹500円の所、サービスで無料で頂く。近辺の金魚屋でも入荷と同時にいなくなる程の人気、実家の両親も複数購入して楽しんでいる

その他もっと色々な種類が存在する。平成になって品種が確定したオーロラ http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Tama/2638/aurora.htm などは早々見れる物ではない。是非遊びに行って金魚の世界を堪能して欲しい。
こちらで良く探すと様々な金魚の写真を見ることが出来る
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Tama/2638/

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お祭りが2日連続であった日、金魚すくいを親子でやってしまった結果果たして家には9匹の金魚がやって来た。可愛いのを選んで取ったつもりであったが殆どがワキンである。娘の砂場用のバケツに入れておくも、このままにはしておけず、近所のディスカウントショップにて金魚用の水槽を購入。ポンプやちょっとした装飾の木が付いて2980円、決して高くは無いのだが、他に水槽に入れる砂やお掃除係のヤマトヌマエビや石巻貝を購入するとあっという間に1万円を超えてしまった。

「早くしないと金魚が全滅しちゃう!!!」

午前中に水槽を購入し、午後に返ってきた時には金魚はバケツの中で既に4匹死亡していた。これは大変だ!!!と慌てて水槽にいれかえるも、急に匹数が減ってしまった為水槽が寂しい状態になってしまった・・・これは困った!と歩いて5分ほどの所にある金魚屋に行き数匹購入する事になった。

行ってみると卸を行っている所なので、普段では見られないような金魚を多数見ることが出来た。水泡眼などはこのお店ともう一店でしか私は見たことが無い。オランダシシガラなどはお屋敷用か、15cmをゆうに大型の物が販売されている。金魚の寿命は10年から20年であるから、相当長く生きた金魚である事は間違いがない。お値段何と1万円。このサイズになってくると本当に”生きた宝石”というしか言葉が見つからない。見事なものである

「これと・これと・これ・・・」

調子に乗って5匹の金魚を購入。今回購入した水槽は45cmタイプと呼ばれる小型の物で、3cm前後の金魚であれば2匹程度が適量だと言われているのを知ったのは大分後の事である。金魚を梱包しているときに色々と聞いてみると、最近の金魚は殆ど中国からの輸入であるという。どうしてもその方が安いし、大量に輸入が出来るからだというのである。

「国内の金魚だったらこの値段じゃ出せない」

私が購入している間も、エサキンを求めて様々な人々が100匹単位で金魚を購入して行く。金魚が熱帯魚などに比べあまりメジャーでは無いのは実際飼ってみると分かるのだが、とにかく水を汚すのである。付属で付いていたモーターなど殆ど役には立たない。翌週大型の水浄化用の大型モーターを購入する事となる。しかしそれ以外は今のところ熱帯魚に優るとも劣らない美しさ、仕草である。金魚がちょっといるだけで、毎日の生活が非常に楽しい物となって来るから不思議である。

「じゃこれから仲良くお願いしますよ!」

お祭りの金魚から大分脱線してきてしまったような・・・しかし娘は綺麗な金魚にご満悦の様子であった。

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2万円程度投資して、ようやく自宅の金魚の水槽が綺麗になってきた。

大型のモーター付き濾過器を購入したのが一番の勝因であるが、水草や巻き貝、ヤマトヌマエビはあまりというよりも殆ど役に立たなかった。そんなもので浄化できる様な汚れようでは無いのである。ふと気が付くと悪臭もしてきた。慌てて空気清浄ポットなどを購入し部屋に置く。

しかし小さい頃に生き物に触れるというのは良い経験である事は間違いが無い。一番最初にやって来た金魚は娘に”ちゅ””ちゅ”と指で何度も触られまくり、網で振り回された結果、あっという間半日で死亡した。水槽を置いてからは金魚を自然に観察するようになり、毎朝、毎夕餌を上げ、側で金魚の絵を書いたりと楽しくやっている。実際購入した水槽にも”子供の情操教育の為に!”との広告文が書かれていた。旦那も小さい頃金魚を飼っていたらしく、色々とその時のエピソードを聞くと面白い。

「俺の水槽はもっとごちゃごちゃしていた。
 中にカメを入れたりドジョウを入れたりしていたんだが
 あれだな、入れたくても、複数の種類を一緒に入れちゃ駄目だな。
 あっという間にドジョウが金魚の頭だけ食べてしまって、びっくりしたよ
 そしてカメはその後・・・、
 金魚とドジョウをあっという間に食べてしまった・・・」

近所の川で取れた物を、とりあえず水槽に入れた為に起こった事故であるようだが、私の場合はもっと酷い。金魚の入った自宅の池に、うっかり?近所の川で取れたフナとナマズを入れてしまい、見事金魚及びフナを全滅させてしまった事がある。気が付くと池に赤い金魚の姿は無くなり、変だな?と思い池の水を取り替えたら、丸々と太ったナマズの姿が出てきた時は家族全員本当に「ぎゃーーーー」っと悲鳴を上げて大騒ぎをしてしまった。慌てて川にナマズを逃がしたのだが・・・犯人は誰だ?と言われた時、「ついうっかり・・・」と言った時の家族の冷たい視線は一生忘れない

その後、”池にナマズを入れてはいけません”と相当怒られた。娘はこの水槽にどんな思い出を残すのか、どんなトンチンカンな事をしてくれるのか、金魚には少々悪いが、今現在楽しみでならない。

「ま、君たち、死なない程度に頑張ってくれたまえ!!!」

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水槽を見ながら考える

旦那の話から考えると、魚は頭の部分が一番美味しい。言われて見てみると、本当にその通り、ヤマトヌマエビの餌にと小魚の日干しを中に入れると、頭だけ食べて残してしまっているのに気が付く。頭を残してしまう人間の食べ方は一番美味しい食べ方では無いのかもしれない。

金魚は悠々と私の物思いなど関知せず、「えさよこせー・えさよこせー」とばかり私の顔の側に寄ってきている。結構人なつっこい。水槽の中に指をつっこむと餌だと勘違いしてつっついてきたり、人が困るのが分かると、何度も水槽の水草を引き抜いては喜んでいるのが目に映る。娘は赤いペンを持って金魚の絵を上手に書けるようになってきた。夏休みが終わっての幼稚園の先生の顔が楽しみである。

良い思い出は浄化され、自分の心の糧になり、悪い思い出は、悪い思い出としてそのまま心に残される。当然良い思い出ばかりの方が良いのだけれど、悪い思い出というのも後から考えるとなかなか感慨深い物になるから不思議である。

来週のコラムのお題は金魚2です。お願いもう少しだけ書かせて下さい!
どうぞお楽しみに!














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