クラブ・食パン

「食パンを焼くのは難しい」
 
 と言うのはパンを焼きをあまり詳しくない人でも知っ居る事では無いだろうか。しかし「何故難しいのか」と言う質問に答えられる人は少ない。かく言う私も「何でなの?」と面と向って聞かれても回答に窮してしまう方のタイプだ。ホームベーカリーを使って食パンを焼いた事があるけれど、何故丸型のパンよりも型に入れて焼く食パンの方が難しいのだろうか。謎は深まるばかりで、答えを見つける事は出来なかった。

 パン教室のコースの中で食パンは基礎コースの丁度中間点に位置している。パン焼きをある程度慣れた人でないと上手に焼けないから。と言う配慮では無いかと私は推察した。同じ小麦粉、イースト菌を使ってどうして難易度が上がるのか。それはパン教室で食パンを習う迄知る事は出来なかった。

 食パンのレシピと言うのは本当に単純だ。卵も入らないし、バターの量も少ない。強いていれば水の量が多いことが一つの特徴として上げられるかもしれない。水の量が多いほうがパンは美味しくなると言うし、生地の扱いが難しくなって行く。

 材料を計量し生地を両手で捏ね上げて行く。こねる。こねる。こねる。力を入れて生地が板にくっ付かなくなり、捏ねムラが無くなってくるまでに。しかし何時まで経っても先生は「もういいですよ」とサインを送ってくれない。何度チェックして貰っても「もう少しですね」「もっと力を入れて捏ねてください」と答えるばかりで、久しぶりに両腕がパンパンになるまで生地を捏ね上げて行った。

「きちんとここでグルテンを作っておかないと、生地が上がって行かないんですよ」
「私こんなに長く生地を捏ねたの初めてです」

 食パンの象徴とも言える二つの山。これはしっかり捏ね上げないと出来ないと言うのだ。その日苦労して焼き上げた食パンは本当に美味。同じ材料でこれだけ違う物が焼けるのかと言う事に一人感動してしまった。

 パン一斤が焼きあがると、我が家ではすぐ無くなってしまう。旦那の夜食に娘の朝食そして赤ちゃんの離乳食。到底私のお昼ご飯にまでパンが回らない。さてどうしようか。色々と考えた結果、試験的に手捏ねではなく、今度はホームベーカリーを使ってパンを捏ねてみる事にした。結果は歴然。自分の手で捏ねたパンの方が断然美味しく、見た目も綺麗であった。

「同じ配分でこれだけ違うんだ……これは難しいって言われる訳だよ」

 自分のパン焼きの技術がそのまま出る食パン。作った後はサンドイッチにしたりトーストして食べたり。嫁入り先は引く手数多に待っているだけに、答えを見つけた後も私の闘いは続きそうである。

参考資料 池田家の食パン材料

使用小麦:イーグル
     アメリカ・カナダ産小麦
     タンパク含量:12.0% 灰分:0.35%
     グルテンが多くボリュームが出る
イースト:サフイースト
     フランス・サフ社のドライイースト
     パンを焼いた時のドライイーストの匂いが気になる人は
     こちらがオススメ。
     パン屋さんで一番良く使われているそうです
バター :よつ葉
     無添加フレッシュバター
仕入先 クオカ http://www.cuoca.com/index.html